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第10回 ストレージの可用性を高める(ソフトウエアRAIDの構築3)

RAID物理ボリュームを作成する

Ubuntu Serverのインストール時ではなく、後からRAIDアレイを追加する場合もRAID 1、RAID 5、RAID 6の構築方法はほぼ同じなのでまとめて説明します。

最初にストレージ内に「RAID物理ボリューム」を作成します。準備として、いったんサーバーの電源をオフにし、RAID 1は2台以上、RAID 5は3台以上、RAID 6は4台以上の新しいストレージをマシンに接続してサーバーの電源をオンにします。

サーバーが立ち上がってログインしたら、まずは「lsblk」コマンドを実行し、新たに接続したストレージのデバイスファイル名を確認します。

図2のように表示されます。「sd」で始まるのが、ハードディスクやSSDなどのストレージです。「sr0」は光学ドライブになります。「MOUNTPOINT」(マウントポイント)に何もなく、内部にパーティションが作成されていない(作成されている場合はツリー表示になる)のが追加したストレージです。ここでは、3台のストレージを追加しているので、「sdb」「sdc」「sdd」がそれらのデバイスファイル名です。

図2 サーバーに接続されているストレージを表示

確認できたら、partedコマンドでそれぞれのストレージ内にRAID物理ボリュームを作成します。partedは対話形式で操作するツールです。しかし、3台もストレージがあると、いちいち対話形式で操作するのは面倒です。そこで「-s」オプションを使って、対話形式にせずコマンドで直接操作します。なお、マシンのファームウエアが「BIOS」と「UEFI」の場合で作成方法が少し異なります。

BIOSの場合、次のコマンドでsdbのストレージ内にRAID物理ボリュームを作成できます。「[sudo] taro のパスワード:」のように表示されたら、自分のパスワードを入力して[Enter]キーを押します。

最初のコマンドでパーティションテーブルを作成します。BIOSの場合は「msdos」を指定します。ストレージを指定するときは、デバイスファイル名の前に「/dev/」を付けます。次のコマンドでRAID物理ボリュームに割り当てるパーティションを作成します。先頭(1)から最後(-1)までを基本パーティション(primary)として割り当てます。三つ目のコマンドでRAIDのフラグを立て、RAID物理ボリュームとして設定します。

UEFIの場合は、次のようになります。「msdos」ではなく「gpt」を指定します。

sdcとsddに対しても同じようにRAID物理ボリュームを作成します。最後にlsblkコマンドを実行すると、「sdb1」「sdc1」「sdd1」のRAID物理ボリュームを確認できます(図3)。

図3 作成した三つのRAID物理ボリューム