シェルスクリプトマガジン

Open USP Tukubaiシンプルレシピ Part1 テキスト編 (前半・帳簿を作る)

解説

このサンプルプログラムは、Tukubai を使って帳票を作るシェルスクリプトとしては非常に典型的な姿をしている。最大の特長は、何十段にも及ぶパイプの接続である。(途中いくつかコメントやAWK コードで遮られているものの)パイプ記号が綺麗に縦に並べられ、このシェルスクリプトにおいては実に25 段にも及ぶ。

■ 1 本のパイプがもたらす効果
Tukubai コマンドを使えば、このような長いパイプ1 本に元データを流し込むだけで帳票(きちんと整形された姿)を完成させてしまうことができる。途中通過するコマンドは、SQL の句を1 つ1 つ切り出したようなコマンドが多くあるあたりがまた面白い。
さて処理全体を1 本のパイプに収めてしまうことには1 つ大きなメリットがある。パイプを構成しているコマンドは全て同時起動し、工場の流れ作業のような並列処理が自然と実現されることとなるからだ。

■ プレーンテキストの帳票
帳票を作るというと、Office アプリやHTML といった手段で表現することを考えがちだが、このプレーンテキストの表を見て意外に様になっているようには感じないだろうか。これで事足りる場面が意外に多いのではないかと言いたいのである。(紙にしたければこのテキストファイルをプリンターデバイスに送れば良いだけだ)
勿論、Office アプリ向け( 例えばCSV 形式)にして取り込ませたり、HTML タグを付けて装飾させたりも可能だ。しかし、そのために新たなコストを支払うこと鑑みれば、これで完成としてしまうことも十分ありなのではないだろうか。
このように、レイアウトという帳票作りの最終工程を簡単に済ませられるのも、テキストベースの手法をとっているメリットの一つと言えるだろう。

 

前編はここまでです。年明け公開の後編では、「ルービックキューブをつくる」シェルスクリプトなどが紹介されます。