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【インタビュー】AIによるソフトウエアテスト自動化基盤を提供するグローバル企業 米Autify社/オーティファイ

 米Autify社は、AIを活用したソフトウエアテスト自動化基盤を提供する、日本人創業のグローバル企業です。2016年に米国サンフランシスコで創業し、2019年頃からソフトウエアテストの非効率性というIT業界共通の課題解決に取り組んでいます。創業メンバーは日本人を中心とし、現在は米国と日本の両拠点で事業を展開しています。金融系や保険系など、ミッションクリティカルな大規模アプリケーションを持つ大手企業を含む、国内外の多くの採用事例があります。
 今回、Autify社 CEO/共同創業者の近澤 良氏(図1)に事業内容や創業の経緯、製品ラインナップ、日本と海外との違い、そしてテスト自動化やAIの未来について話を聞きました(聞き手は麻生)。

図1 米Autify社 CEO/共同創業者の近澤 良氏

――事業内容と、創業の経緯について教えてください。
 我々は、AIを使ってソフトウエアテストを自動化・効率化する事業を展開しています。会社自体は2016年に創業しましたが、当初は今とは異なる事業を行っていました。転機となったのは2018年、サンフランシスコのAlchemist Accelerator社によるシードアクセラレータ(早期に事業を立ち上げる支援プログラム)に日本人として初めて参加したことです。
 私自身、エンジニアとして日本、シンガポール、アメリカの3カ国で10年以上開発に携わってきました。テストはどこでも非常に大変な作業でした。そんな中、米Gartner社のレポートで「開発チームにAIデベロッパが加わる時代が来る」という予測を目にし、テストは必ずAIで代替されると確信しました。そして2019年に現在の事業を開始し、順調に成長を続けています。

――具体的な製品ラインナップと、それぞれの特徴を教えてください。
 主に「Autify Nexus」「Autify Genesis」、そしてAIエージェント機能を展開しています。
 Autify Nexus は、Autify社の現行主力製品であり、Webアプリケーションテストをノーコードで自動化する「Autify NoCode Web」の後継に位置づけられています。米 Microsoft 社が開発したオープンソースのテスト自動化フレームワーク「Playwright」を基盤としており、自然言語でAIエージェントに指示するだけでテストシナリオを生成できます。
 ノーコード操作にも対応し、ユーザーインタフェースの変更によるテストの破綻を抑える仕組みを備えることで、テストメンテナンスの負荷を大幅に軽減します。特に、オープンソースの柔軟性を活かしつつ、コード記述の煩雑さをAIが解消する点も高く評価されています。
 Autify Genesisは、仕様書を読み込んで内容や意図を理解し、テストケースやテストシナリオを自動生成するAIです。
 AIエージェント機能は、最終的には人がコードを書く必要すらなくなり、100台のAIエージェントが代わりにテストを実行し、バグを分析する未来を目指しています。

――日本と海外でのテスト自動化への意識に差はありますか。
 非常に大きな差があります。北米は金融機関であっても自社で自動化スクリプトを回すのが当たり前で、非常に進んでいます。
 一方、日本は依然としてベンダー依存が強く、自動化にたどり着いていない企業がほとんどです。しかし、開発コストの半分をテストに費やしている現状に、多くの企業が課題を感じています。我々は、ツールとプロフェッショナルサービスの両面から、この50%のコストをAIで効率化し、開発スピードを加速させる支援をしています。

――今後、ソフトウエア開発におけるテストの役割はどう変わっていくのでしょうか。
 将来的には、仕様とテストを書けば開発は終了という世界になるでしょう。AIがコードを生成するようになると、その成果物が正しいかどうかを判断する受け入れ要件の重要性がこれまで以上に高まります。人が実装の細かいコードを見る必要はなくなり、AIにどのような指示を出し、どのテストが通ればOKとするかという上流工程に集約されていくはずです。

――AIに期待すること、あるいは現在のAIの限界について教えてください。
 AIの精度や扱える情報量は日々向上しています。一方で、プロンプトに必ずしも従わないといった確率的な振る舞いは依然として課題です。現場では、AIにルールを繰り返し想起させるなどの工夫で対応しています。将来的には、AIが仕様を完全に理解し、自律的に動作するプラットフォームへと進化させていきたいと考えています。