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ITエンジニアのためのマーケティング入門 第25回 (vol.49掲載)

「情報のマーケティング活用」については、企業側にとっては、お客さんやファンの人々の購買履歴はもちろん、自社サイトのアクセス履歴などのデータを集めて分析できるようになった、という点も大きいんじゃ。今はアクセス管理ツールも進化したんで、どのページのどの商品や記事を見ているか、データを把握できるようになっておる。さらに「ソーシャルリスニング」といって、SNS上での自社商品のネガティブ発信をたちどころに把握できる仕組みも存在する。じゃから、WEBサイト一つとっても、お客さんの反応を見ながら商品の配置や入れ替えを素早く実施する、といった改善ができるようになったんじゃ。
そうか、お客さんの動きがリアルタイムにわかれば、それで直ぐに改善して売上向上なんかに活かせるってわけだね。
さて、ここでデジタルマーケティングの事例を一つ紹介しよう。

 

【事例42】徹底したスマホ戦略で成功したB.LEAGUE
2016年9月、「bjリーグ」と「NBL」を統合しジャパン・プロバスケットボールリーグが開幕、順調に動員観客数を伸ばし、トップリーグのB1では第4節までで昨年比1.5倍になった。スタートから多くの観客を動員できた背景には徹底した「スマホ戦略」があった。
バスケットボール愛好者は10代から30代の「スマホ世代」が中心。それまでの顧客分析から、「一人より友人と観戦」、「外出好き」、「スマホで情報収集」、「情報シェアに積極的」という特徴が明らかだった。
そこで採った戦略は「スマホファースト」。Bリーグのチケットは、アプリを利用すれば予約・決済から入場までスマホで完結する。完全なペーパーレスにしたのだ。入場時にもスマホに電子スタンプを押すだけ。登録された個人IDがデータベース化されており、お気に入りのチームの情報も取れるため、クーポンを配信したり、試合後のハイライト映像を送信することもできる。今後こうした情報を「B.LEAGUE-DMP」に統合し、ファンクラブやチーム、さらにリーグ内で連携、将来的には競技者個人のDBと連携させる構想を描いている。
出典:「B.LEAGUE、デジタルマーケティング施策も開幕へ 」Insight for
https://d-marketing.yahoo.co.jp/entry/20161114427131.html?sc_i=post_former_d
画像:B/LEAGUE公式WEB
https://www.bleague.jp/

そうか、Bリーグもスマホ1つで全部できちゃうんだな。便利になったよね。
B.LEAGUEはプロ野球で観客を増やした経験者を起用しておる。最初から狙って仕掛けた結果が良かったんじゃな。今後ファンクラブ属性とチケット購入履歴や来場履歴を紐付けてECに繋げることもできるし、観戦中の個人向けに情報発信もできるようになるじゃろ。
観戦中の個人に?
例えば、京セラドームでは、観客が観戦中にスマホでビールの注文ができる、といった施策を導入している。これは売り子にスマホを持たせ、観客が呼び出すと「iBeacon」という短距離通信手段を使って客の近くにいる売り子に通知されるという仕組みなんじゃ。
へー、ならば、観戦中にピザの宅配注文もできちゃうかもね!
たぶん技術的にはもう十分可能なんじゃないかしら?
ハッハ。実はその通りなんじゃな。
それでデジタルマーケティングの方法としてはどんなのがあるの?

 


それがいろいろあっての。一筋縄ではいかん。今後順番に見ていくが、上手く全体を表現した図が世の中には無いんで、ワシがテキトーに作ってみた図がこれじゃ。一つ一つがデジタルマーケティングのツールや考え方になっておる。厳密ではないが、ざっとADTECH/ANALYTICSとかの分野に分けてある。ここに書ききれない新しい概念もあるんじゃ。日々進化しておる分野じゃからのー。
なんか、例によって横文字ばっかりだなー。
SEO(Search Engine Optimization)やEmailなどの古くからある手段から、最近注目されているABM(Account Based Marketing)まで入ってはおる。
CRMなどのソリューションからGPSのような基本的技術までマーケティングに活用されているんですね?
そうなんじゃ。これらをすべて説明することはできんが、大変オモシロイ世界ではあるぞよ。次回から主だった部分を見ていくことにしようか。
しかしマーケティングって、テクノロジーが入ってきてますます難しくなっちゃったなー。
なーに、前回も触れた「お客さんを創造し維持し続けるための活動」というマーケティングの本質は変わらんのじゃ。
それを忘れずに、新しい便利な技術は取り入れていくことが重要なんですね!
その通り、では次回を楽しみにな。
はーい!

(つづく)